【全社】エンジンルームからのキュルキュル音
まずなにが鳴っているかを判別しましょう
まず、最初に確認するのは「いつ鳴っているか?」です。 エンジンがかかっていてクルマが停止している状態であれば、タイヤなど走行中にしか動かない部分はまず関係ありません。そのうえで「キュルキュル」とこすれているような音であれば、どこかのゴムベルトでしょう。
エンジンが正常に動いているようであれば、キュルキュル音の正体は「ファンベルト」かもしれません。
他にはオルタネーター(発電機)やパワステ、エアコンなどを駆動するためのベルトもありますが、エンジンによって1本ですべてをまかなっていたり、あるいは複数のベルトで別々に駆動することもあり、それぞれ「パワーステアリングベルト」「オルタネータベルト」「エアコンベルト」などとも呼ばれます。それらすべての駆動を1本で共用するものは「ファンベルト」と総称することがあります。 共通しているのは、プーリーと呼ばれるわっかにテンション(張り)をかけてひっかけているだけなので、どれも滑る時は滑るということです。キュルキュルと鳴く理由としては、おもに3つあります。
鳴く理由その1「ゴムの劣化」
ひとつはゴムの経年劣化です。 使い続けたベルトはプーリーとの摩擦で摩耗する他、摩擦熱やエンジンからの熱を受けてゴムが硬化していきます。 また、それほど酷使していないエンジンでも、時間とともにゴムが劣化することは避けられません。新品の時は十分に弾力性があるのでプーリーとの摩擦も保たれて滑らないのですが、硬くなれば摩擦力が低下して滑りやすくなります。それによって「キュルキュル」という連続した滑り音が起きるのです。 これが進行すると最後にはベルトが切れることもありえるので、ベルトそのものが寿命ですから、新品に交換するのが一番よいでしょう。
鳴く理由その2「張力の不足」
もうひとつはプーリーにかけられたベルトが緩み、張力が落ちるので滑りやすくなっている状態で、その原因としてはゴムが伸びたり摩耗したことでの劣化、あるいは十分にベルトの張りを持たせていないかのどちらかです。 前者はベルトの寿命が近くなっているということですが、新品のベルトでも十分に張りを持たせなければ、滑ります。どちらでもテンショナーという張りを調整する装置で張力を戻せますが、新品では無い場合は早く交換した方がいいでしょう。
鳴く理由その3「機械の不具合や故障」
最後の理由は、ベルトでは無く、繋がった補機類の不具合です。プーリーやテンショナーが錆びてしまうと、それと接触したベルトとの間で鳴きが発生します。 また、ベルトで駆動されるはずのポンプやコンプレッサーが壊れてロックしてしまうと、そこに繋がれたプーリーも正常に回転できません。そうなるとベルトとの摩擦が極端に増えて、場合によっては悲鳴のような鳴きが発生します。 この状態ではゴムが焼けるような臭いがしてくることもあり、故障した補機類はもちろん、そのような過酷な状態に置かれたベルトも交換しておいたほうが無難です。
点検して、鳴くようなベルトを見分けよう
鳴くようなベルトで、最初に疑うべきは「張り」です。 エンジンを止めた状態でベルトを押せば、正常なベルトは弾力がありますが、硬化したベルトでは弾力が感じられなかったり、伸びたベルトでは押すと張りが足りなかったりします。ただ、これについては正常な時の感触を覚えておかないといけないので、ときどきエンジンルームを点検する際に、ベルトを押してどのような感触か覚えておくと良いでしょう。 また、見た目もすぐにわかります。極端な場合は、裂けが始まっていたり、ヒビが入ってるのがわかります。見えにくい時は、懐中電灯などで照らしてあげてください。チューニングカーなどでは、追加装備したパーツ等が干渉することでベルトが損傷することもあります。 この点検の際は、絶対にエンジンが止まっていること。間違ってもリモコンなどでエンジンが始動しないよう注意しましょう。
考えられる対策
ベルトの状態を見分けたうえで異常が無く、補機類も正常に作動しているようであれば、鳴き止め剤を使ってみましょう。粉末やシリコングリスなどで、自動車用品店や自動車関連の大きなコーナーがあるホームセンターでも販売しています。 ベルトの硬化や破損がひどくない状態にも使用できますが、鳴きが止まると安心して放置してしまう可能性がありますので、大事な用件がある場合の応急措置と考えて、できればすぐにベルトを交換してください。